忌み嫌うような一つの動作

忌み嫌うような一つの動作


小さな夢たちを集めてこの細胞が成り立つというのならば、私は如何程に己の価値を知らず惰性と共に落ちぶれていたのだろう。脳を使うということ。

今日また知っている夢を見た。内容は定かではない。知っている夢を見た気がしただけかもしれない。

龍の卵から青色の眼をした少年が産まれた。真実を語るものはいない。

イルカには文明があり、知能が存在する。イルカがみた夢は私のみた夢に何か繋がりがあるだろうか。繋がろうとする意識。大して叶うこともない。


あからさまな笑顔のこと。
私はどちらも敬遠のためにそれらを用いることがままある。小さな夢は明らかに言葉を殺しているのだ。あからさまな笑顔は私をいつか殺すのだろうな。突き刺すか緩やかに殺してね。じわじわ苦しむのはもうたくさん。

丁重な言葉遣いのこと。
真実や言葉のかけらを繋ぎ合わせるのは私以外の誰しもが出来ること。しかし愛を以って込めることはその通りではない。小さな夢が殺した言葉は私がそっと葬らねばなるまい。緩やかな死を抱きしめて差し上げよう。憎しみは置いていかねばね。別れの言葉はそれくらいで事足りるだろうか。最期のときは夢が味方をしてくださいますように。

爪を噛む動作のこと。
どうしても触れられないことを解っているのだから、私は今朝の夢のように早く忘れてしまえばよいのにそれを許さない。脳の理解と心の理解は統一されることがあまりない。心の所在はこの身体全てに少しずつある。そのどれが欠けたとしても私は私ではなくなってしまう。私はわたしの何かを何処かに落としてしまうのだろう。落とされたわたしは差し伸べられないその指先を乞うのだろうか。それとも心臓から離れた瞬間に言葉も風景も喪うのだろうか。丁寧に埋葬するくらいしかきっと出来ない。吸い込んだのは時間か、それとも煙草の灰か。

瞼を閉じればもうすぐに朝はやって来ている。