最初から
何もなかったような気がする。
手に触れるものや鼓膜を刺激する音、
視覚を突き刺す色や懐かしいにおい。
そのどれもが、私を形成するもので、
でも決して私そのものではなかった。
私自身は何者なのだろうという問い。
夢を視ては魘される現実との狭間で、
私はいつからか夢を視なくなったの?
想像力は私を創り出していたのかな。
それとも、壊そうとしていたのかな。
真実はきっとどこを探してもなくて、
当たり前に次の朝はやって来るのだ。
心を壊しても保ちたい自分の心とか、
嘘をついてでも君に好かれたい願い。
新しい朝が私を拒むことはないけど、
昨日はいつも私を壊しに訪れるのだ。
君が私に笑いかけてくれたその瞳が、
きっといつまでも私を縛り付けるの。