明滅

大体のことは何もないようになって。
物語をひらくのもとじるのも私の勝手だというのに、私は風にそよいだページを見てただ困った顔をしてみるだけ。先に進もうとしない。

嬉しかったこともただの思い出でしかなくて、名指しされない悪口を見つけては溜息を吐く。大切ならばもっと大切だと言えばいいのにね。言えればいいのにね。
自分の弱さを他人のせいにするのはもうやめないといけないね。信じてもいないことに頷いて見せたって何も変わりはしないんだ。偽りの馴れ合いだってわかっていたことだろう。何も知らなければ何も知らないまま、子供のまま、笑顔でいられたのかもしれない。だけど、それは遅かれ早かれ自分自身を裏切るように出来ている。からくりみたいに無表情では居られないから、漏らした言葉に悪夢を見るのだ。