鳴音

誰かの言葉を受けて、否、言葉を受けずともその流れを汲み真実を有耶無耶にさせてしまうことはよくある。目に見えもしないことにとらわれて言葉を吐いてしまうのが私たちだ。どうでもいいことにとらわれ、どうでもいいことで泣く。どうでもいいことだったはずなのにいつの間にか愛情を持ち始めてしまうこともよくあることだ。
だが真実とは何かの問いに答えられる者はいるのだろうか。真実が何であるかという問いに答えがない以上それはどんな問いをも効力を失わせる。真実とは何か。誰なのか。それがわかる人間は恐らくどこにもいやしないだろう。真実は闇へ葬り去られるものであるし、誰もそれを止める術を持たない。